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2017.08.16 WED

LINE BOTでお話しするMBSのコンシェルジュ『おしゃべり らいよんチャン』をサーバーレス・アーキテクチャで実装

増田 隆一

WRITTEN BY 増田 隆一

MBS(株式会社毎日放送)は、大阪府大阪市に本社のある近畿エリアの地上波放送事業者です。近畿エリアでのチャンネルは「4」。最近の放送局は番組の放送に留まらず、事業所周辺でのイベント開催などにも積極的です。マスへの情報発信力と集客力を活かして、放送局のある地域の活性化や、放送局そのもののファン層の拡大に努めています。

MBSでも事業所のある大阪市北区茶屋町を舞台に、エリアをハリウッドのように盛り上げようと『チャリウッド』というイベントを2014年から毎年開催しています。

他にもインターネットを活用したサービスの立ち上げの一環で、ネット限定で行うスポーツイベントなどのライブ配信やオンデマンド有料配信などを検討・実施していました。その企画を成功させるには、新しいユーザーを獲得し、情報を発信してネット上のサイトやオフラインのイベントへの誘致を促すことが求められます。

放送のプラットフォームで、マスに対して情報を発信する専門家であるMBSも、ターゲットを定めてSNSを駆使して情報発信を行おうとすると、放送局の範疇を超えて新しいコミュニケーション手法が求められると考えていました。

有料動画配信サービス『MBS動画イズム444』のインフラ構築と運用を支援しているcloudpackは、同サービスとの連携からイベント連動までを視野に入れて、SNSを活用した情報配信基盤の提案を行いました。

LINEの活用

MBS専用アプリケーションを開発しても、毎日のように使われるアプリケーションとして普及させるのは、至難の技です。すでにユーザーのスマートフォンには無数のアプリケーションがインストールされていて飽和状態だからです。

そこで、cloudpackがMBSに提案したのは『LINE』の活用でした。既に多くのスマートフォンにインストールされていて、しかも利用率が非常に高いとされる代表的なアプリケーションだからです。

利用人口だけでみれば、最も高いと思われる『Eメール』もありますが、メッセージの開封率の低さを問題視し、人口カバー率とアクティブ率を鑑みるとLINEは圧倒的です。これまで以上に若者(T〜M1・F1層)にも興味を持ってもらいたいMBSにとっては、他に選択肢はないと考えました。

出典:http://www.uniad.co.jp/wp/wp-content/uploads/mediaguide_LINE_2016_10_2017_03.pdf

LINE BOTを使った双方向アプローチ

LINEからは、Messaging API(通称:LINE BOT)が提供されています。MBSのエンターテインメント要素を盛り込んだチャットボットを作り、MBSからの一斉発信に加え、ボットとユーザーが楽しくコミュニケーションすることで、MBSらしい誘致・集客ができるのではないかと考えたのです。

LINE BOTが提供されてから、日々さまざまなボットが登場しています。爆発的に人気のあるボットはまだ誕生していないと考えたcloudpackは、近畿地方で世代を超えて人気のあるMBSの番組宣伝キャラクター『らいよんチャン』をボット化する提案を行いました。

視聴者ニーズの変化に沿った双方向性のあるSNSを使ったアプローチに、老若男女の幅広いユーザーが見込めるLINEによる情報発信と、らいよんチャンというキャラクターをより親しみやすく身近な存在として感じられる、それがMBSの視聴者サービスにつながるという考えでした。

MBSで番組宣伝を担当する水野善雄氏は、cloudpackの提案に興味深く耳を傾けたと言います。

番組宣伝は、新聞に広告を出したり、媒体に記事を出したり、これまでは紙媒体中心でしたが、すっかりペーパーレス時代になって、視聴者との接触はWeb中心になってきています。しかし、放送と情報配信は性質が異なるので、どの放送局も悩みながら、番宣にSNSやWebでの情報配信を行っています。LINEを使った『おしゃべり らいよんチャン』は、らいよんと会話しながら情報をお伝えする今までにないパターンです。らいよんというキャラクターを活用してMBSらしさが出せると考えました。もともと利用者数の多いLINEなら広がりも期待できますし、さまざまなコラボレーションのチャンスがあります。MBSとして、ひとつ新しい方向を打ち出せると思いました。

放送局として持ち合わせている番組情報だけではなく、多彩なコンテンツを用意することで、あらゆるアングルからの情報発信が可能になると考えたと水野氏は語ります。

『おしゃべり らいよんチャン』のキャラクター設定

近畿地方以外では、あまり知られていない『らいよんチャン』ですが、たてがみはパンチパーマで、基本『脱力系』のキャラクターとして愛されています。しかし、テレビで伝わる『脱力感』とテキストで伝わる『脱力感』では、テキストの方が表現がストレートになりやすいため、キャラが変わってしまうのではないかという懸念がありました。

そこで『おしゃべり らいよんチャン』の制作にあたり、以下のキャラクター設定が追加されました。

  • 媚びない。しかし、横柄にはならない
  • 関西キャラだけどあまりベタにならない
  • カッコ悪いように見えて、カッコよさを追求している(ダサカッコいい)
  • どんなコスプレにも対応する

「ボケ」や「スカシ」など、らいよんチャンというMBS特有のキャラクターを活かしたアプローチは、ユーザーとの新たなコミュニケーションをパーソナルに作り上げていくのではないかと期待を寄せる人物がいます。

らいよんチャンの母的存在である、有限会社ピースリーピースのクリエイティブプロデューサー・阪上寿満子氏は、次のように語ります。

もともとは、らいよんってあまり喋らないキャラクターだったはずなのですが、BOTになった瞬間からガンガン言葉を返してくるので、最初は違和感がありました。らいよんにはさまざまなコスプレをさせていて、そのバリエーションも豊富なのですが、BOT化もコスプレの一種だと思ったらなんとなく納得できるようになりました。BOT化を通じて、らいよんがcloudpackというまったくの別ジャンルであるITの専門家集団に巻き込まれて、たくさんの人たちに親しみのある先端技術と融合することになるので、らいよん自身に新しい門戸が開くかもしれないと面白がっています。また、これからどっちの方向に進むのか、といった未知の部分にも期待を寄せています。

さっそく『おしゃべり らいよんチャン』と会話してみました!

さっそくいろいろ話しかけてみましょう。



ボケられたかと思いきや、ちゃんと役に立つ情報も返してくれたりして、なかなか楽しいですね!

みなさんが『おしゃべり らいよんチャン』と友達になるには、QRコードを読み込むだけでOKです。




友だち追加

『おしゃべり らいよんチャン』のシステム基盤にサーバーレス・アーキテクチャを採用

『おしゃべり らいよんチャン』を稼働させるシステムには、いくつかの課題がありました。

LINEというツールの特性上、深夜にアクセスが減るとは限らず、時間帯によるピーク性も正確に想定できず、テレビ番組と連動した情報発信を行う際の突発的なアクセス増に至っては事前にまったく予測できないという課題にぶつかりました。とはいえ、予想もつかないアクセスに備えて、サーバーを何台も立ててしまうとコストが跳ね上がります。

そこでcloudpackは、『おしゃべり らいよんチャン』をサーバーレス・アーキテクチャであるAWS Lambdaで実装し、らいよんチャンの『言葉』を管理するためのCMSにサイボウズ社のkintone、らいよんチャンの言葉を蓄積するAmazon S3、単純な言葉に関しては独自のアルゴリズムで対応し、複雑な日本語でのやりとりに必要となる言語解析には、Microsoft社のLUIS(Language Understanding Intelligent Service)を組み合わせた効率的な設計を行いました。

cloudpackでは、『おしゃべり らいよんチャン』を利用するユーザー数を10万人として想定し、サーバーレス・アーキテクチャで1秒あたり5,000同時アクセスを捌けるシステム構成になっています。

同じキーワードは、ボット内にキャッシュすることでS3やLUISへのアクセス頻度をコントロールしたり、アクセスが集中して万が一捌き切れなくなった場合は既読スルーしたり無視したりする回避策や、解読しにくい言葉が投げかけられたときにボケるなど、らいよんチャンのキャラクターを逆手に取った工夫なども盛り込まれています。

MBSが『おしゃべり らいよんチャン』にかける期待

MBSの水野氏は、『おしゃべり らいよんチャン』の完成に際し、次のように述べています。

cloudpackから提案をもらった時点では正直ピンと来ませんでしたが、わずか数日後にcloudpackの比企氏が『おしゃべり らいよんチャン』のデモ版を持っていらして、そこで初めてこの企画がもたらす可能性が理解できたのです。とは言え、企画をGOした時点ではやはり見切り発車だったことは否めませんでしたが、『おしゃべり らいよんチャン』が完成に近づくにつれ、LINE BOTをベースにしたこの取り組みは、らいよんの新しい方向性として良い展開ができていると感じています。『おしゃべり らいよんチャン』とのやりとりは、想像していた以上にかなり楽しいです。

LINE BOTを活用した事例は他にもあります。『おしゃべり らいよんチャン』のフロントだけみたら、圧倒的な凄さは感じないかもしれません。しかし、今回の裏側は凄い。cloudpackのAWSの達人による、よく練られた秀逸なシステムには圧倒的なコストパフォーマンスで驚きましたし、何よりも、らいよんの喋る範囲が非常に広範囲であることも期待以上でした。一般的にチャットボットの会話精度は、まだまだ未成熟な部分も多いと思うのですが、らいよんのキャラクター特性を掴みながら、ユーザー自身が折り合いをつけて楽しんでいけるのではないかと考えています。

『おしゃべり らいよんチャン』はMBSの発展性のある資産のひとつだと考えています。MBSのさまざまな部門が、『おしゃべり らいよんチャン』のインフラをさまざまな企画で活用してもらいたいと考えていますし、もっと『おしゃべり らいよんチャン』にこういうことをやってほしいなどアイデアやリクエストがあると嬉しいです。全社が活用して、このシステムの可能性をさらに広げていきたいのです。これからは、『おしゃべり らいよんチャン』を通じて、Webサイトとの連動に違う展開があったり、施設やイベントへの誘致などオフラインの場が盛り上がることを期待しています。

LINE BOTのシステム設計・構築・運用ならcloudpackにお任せ!

AWSのさまざまな機能ややkintoneを効率よく活用した『おしゃべり らいよんチャン』のようなLINE BOTシステムを、各企業のニーズにあわせた形でこれからもcloudpackは提供していきたいと考えています。cloudpackまでお気軽にご相談ください!

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増田 隆一

増田 隆一

2015年にアイレット入社。cloudpackのマーケティングコミュニケーション担当 兼 採用マーケティング 兼 cloudpack.media編集長。ネコを愛する泡盛マイスター。虎ノ門界隈の飲食店制覇という壮大な野望を遂行中。