「人と時間」「人と環境」の分野で新しい価値を創造し、安心・快適で健全な社会の実現に貢献することを経営理念に、各業界の最大手メーカーとして、日本だけでなく世界にも製品・サービスを提供するアマノ株式会社様(以下、アマノ様)。タイムカード、駐車場システムや業務用ロボット掃除機、電気集塵機などの空気を清浄する環境システムなど、多くの人に馴染みのある製品から、工場や公共施設等で活躍する製品まで、幅広く事業展開されています。

このたびアイレットは、アマノ様が開発された「業務用自動清掃ロボット」を AWS (アマゾン ウェブ サービス)上で管理するシステムにおいて、インフラ構築からシステム開発・画面の提供までワンストップで実施し、成功に導くことができました。今回は、2年間にわたる本プロジェクトでアマノ様とアイレットがどのように連携し、どのようなチャレンジを行っていったのか、両社のプロジェクトメンバーにお話を伺いました。


今回開発したシステムが搭載されるアマノ株式会社業務用自動清掃ロボット
「EGrobo(イージーロボ)」

アマノ株式会社

下郡 祐美子様

ロボットソリューション開発部・部長

千木崎 俊太郎様

ロボットソリューション開発部・主査

紺野 尚之様

ロボットソリューション開発部・主査

アイレット株式会社

平野 弘紀

取締役副社長

山田 裕司

第四開発事業部
エンジニア

新しい管理システムの実現へ向けて

――今回アイレットが構築・開発を担当させていただいた「業務用自動清掃ロボット」の管理システムは、どのような点が画期的なのでしょうか。

IoTを活用した先進的な「自動清掃ロボット管理システム」の開発であることです。自動清掃はもちろん、ロボットからのデータ収集、さらにはロボットへの指示出しや遠隔操作といったコントロールも可能としています。このような先進的な開発にもかかわらず、低コストで実現できたことも特筆すべきことだと考えています。


――そもそもどのようなニーズや目的があり、新しい管理システムを立ち上げることになったのでしょうか。

今回立ち上げた管理システムの対象は、駅やビルなどの公共機関で稼働する業務用自動清掃ロボットです。今までロボットのソフトウェアに関するバージョンアップなどの保守管理業務は、アマノの従業員がお客様の現場へ出向いて行っていましたが、遠隔で行えるようにシステムを導入することでお客様・アマノ双方の負担を減らしたいと考えていました。また、様々なロボットとソフトウェア毎のバージョンアップを紐付けて検討・管理する業務は煩雑なため、これらを自動化することは確実性の面でも工数削減の面でもメリットを感じていました。さらにロボット開発の視点では、現場でどのようにロボットが動いているのかを確認・分析したいというニーズもありました。


サーバーレス化も目的のひとつでした。今まではアマノの従業員がサーバーを管理していましたが、サーバーのスペックを上げる、ストレージを増やすとなると工数がかかります。その部分を AWS 上で管理することで自動化し、サーバーの増設・管理・運用などのコストを削減したいと考えていました。

AWS プレミアコンサルティングパートナーとしての信頼感と提案力を評価し、アイレットを開発パートナーに指名

――開発パートナーにアイレットを指名していただいたのはなぜでしょうか。

前述の課題や要件を AWS 上で管理するシステムによって解決したいと考えていたのですが、我々のロボットソリューション開発部では AWS を扱った経験がありませんでした。そのため、AWS のプロフェッショナルによるノウハウを取り入れて、スピーディに開発を進めたいという考えがありました。その点で、アイレットさんは AWS によってプレミアコンサルティングパートナーに認定されているという信頼感がありましたし、平野副社長によるシステムアーキテクチャの提案内容が我々の実現したい内容を網羅していたこと、価格面でもメリットを感じる内容であったことが大きな理由です。


アイレットとしては、アマノ様がご提示くださった技術的なビジョンが明確だったため、とても提案がしやすかったです。アイレットの IoT 開発に関する豊富な知見も期待されているところでしたので、ノウハウや経験もお伝えしながら、ご提案や構築・開発を進めていきました。


――今回の開発の役割分担や流れを教えてください。

清掃ロボット本体の設計・開発やHTTP・MQTT通信部分の開発、そして管理システム全体の要件および概要設計の提示をアマノが行いました。その後、密に連携を図り、清掃ロボットの運用および管理設計、清掃ロボットと AWS の通信設計はアイレットさんと共同で行っていきました。


アイレットの方では、AWS の構築、API・MQTTの設計・開発、管理システムの開発を担当しました。

毎週の定例会や日々の情報共有を通じた密な連携で確実にプロジェクトを進行

――「密に連携」とは具体的にどのような方法で行ったのでしょうか。

週に1度の定例会や、プロジェクト管理ツールを用いた日々の進捗報告・情報共有により連携しました。
我々が普段から利用しているツール群をそのままアイレットさんとのやり取りに利用しました。


お客様が最も進行しやすい方法に合わせるのがアイレットのスタイルです。
原則としてお客様が馴染んでいるもの、社内規則で利用しているツールがあればそれに合わせる形を取るようにしております。


――一緒にプロジェクトを進める上で工夫したことはありますか。

今回の開発は、デバイスとクラウドの連携が必要でしたが、デバイスが業務用自動清掃ロボットという特殊な製品でしたので、できるだけデバイス側の情報をきめ細やかに共有することを心がけていました。必要に応じてデバイス側のログデータをアイレットさんに送って調査をしていただいたり、不具合があったらすぐに対処したりすることで共に乗り越えていけたと感じています。


アマノ様が積極的にデバイス側の動作確認をされて結果を共有してくださったり、デバイス側の詳細情報に関して資料を作成いただいたりと、積極的に情報提供をしてくださいました。アイレットとしても状況を理解・把握しやすく、スムーズに開発を進めることができました。

複雑なシステム、膨大な情報量に対応するチャレンジングな開発

――対象が業務用自動清掃ロボットの管理システムということで、特殊な部分や苦労したことはあったのでしょうか。

自動清掃ロボットということでセンサーの数や情報量が多いために、必然的に扱うべきデータも膨大となり、処理やパフォーマンスに課題がありましたし、システムの難易度は高いと思います。ロボットシステムはプログラムが複雑ですので、それをアップデートするシステムも自ずと複雑になります。さらに、そのシステム管理を Web ブラウザで表現するハードルも高かったと思います。


ロボットが動き始めてから止まるまでの時系列に沿った様々な種類のデータを、管理システムに紐付け、集計しなければいけないところも大変なポイントでした。


――アイレットとしてはどのように対応していったのでしょうか。

通信頻度が高い状態で多岐にわたるデータが大量に送られてくる中、いかにアマノ様が要求されるパフォーマンスを出すのかというところで非常に試行錯誤しました。当初はAurora Serverlessを採用していましたが、集計処理でデータが大量になってきたフェーズではアマノ様の管理画面とどう連携するかという部分を再考し、Amazon RDS Proxyを導入し、通常のAuroraに切り替えるなどアーキテクチャの変更も行いました。私たちにとってもチャレンジングな開発を経験させていただきました。


――アマノ様から見て、アイレットの対応や開発スタイルはいかがでしたでしょうか。

アイレットさんから状況に応じたご提案をいただき、ディスカッションして懸念事項も確認した上で進めていけたので、乗り越えられたと感じています。


要件通りにそのまま構築・開発するのではなく、より良いシステムになるように垣根を越えて主体的に提案してくださったので、当初考えていたよりも良いシステムが完成したと思います。また、管理画面の見やすさや操作性を考えた機能仕様書を開示して開発していただいていましたが、アイレットさんからもより良いユーザビリティ実現のためのご提案があり、柔軟に対応してくださいました。


やはりロボット自体のシステムが複雑ですので、思ったようにスケジュールが進まないこともあったのですが、アイレットさんが常に寄り添って併走してくださったので、大変助かりました。

活発な議論で、より強固になった両社のチームワーク

――アマノ様とアイレットの良いチームワークが築かれていたのですね。

アイレットさんとはこのプロジェクトにおいてこれまで2年間ご一緒しましたが、当初から良い雰囲気でスタートしたことはもちろん、お互いに良い製品をつくるためにさんざん議論をしたので、チームワークはより高まっていったと感じます。良い製品をつくるための的確な目標をアイレットさんが立ててくれたからこそ、できたことだと思います。


アイレットとしてもお客様とのコミュニケーションを円滑にしていくことは常日頃から心がけていることではありますが、今回は特にアマノ様内の役割分担が明確で、素晴らしいチームプレイを行われていたことが、チーム全体にいい影響を与えてくださいました。議論の場でも特に下郡様が交通整理を行ってくださったことで、何か課題が生まれても方向性の模索から解決方法までスムーズに導き出すことができたため、決してプロジェクトが止まることはありませんでした。


落としどころをどこにすると双方がうまくいくのか、ということは常に意識して議論を進めるようにしていました。


――今回、チーム一体となって2年間プロジェクトを推進した中で、得たものがあれば教えてください。

AWS の知識や理解が深まったことは大きいと思っています。今後なんらかのシステムを考える際にも活かせる知見になったのではないかと思います。また、アイレットさんのようなベンチャー企業と、会社の垣根を越えて協力しながら、お互いにより良いものを目指していくことの素晴らしさも実感しましたね。


アイレットとしてはクオリティの高い製品開発を追求する「モノづくり精神」をアマノ様から学ばせていただきました。常に課題や理由から実現したいことまでが明確で、それらをストレートにぶつけてくださったからこそ、刺激されるものがありました。我々アイレットも、そのようなモノづくり精神を持ち続けていきたいという思いを新たにできました。


日頃の密なやりとりの中でアマノ様から様々な情報を共有していただいたり、自分が調べたり考えたりした内容をアマノ様に共有したりするうちに、どんどんと知識が深まっていくのを感じました。自分自身の成長にもつながるプロジェクトを経験させていただきました。

両社の力で、今後のさらなる発展を

――管理システムが完成し、現在はどのようなフェーズなのでしょうか。

現在は社内公開中という段階です。社内のカスタマーサポートメンバーによる運用を予定しています。


――今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか。

遠隔バージョンアップの機能については、現在既に使用されている業務用清掃ロボットの各現場で実装されていくことになります。そして、今後は発売される清掃ロボットには必ず搭載される予定です。ロボットからデータを吸い上げて管理する管理画面の実装は今後検討を重ねます。


――今後アイレットと共に行ってみたいことはありますか。

先ほど申した通り、現在社内のテスト段階ですので、そこで課題が出てくれば解決していくことはもちろんですが、より便利な機能なども追加していけたらいいですね。


管理システムのUIや性能をさらに向上させていきたいですね。場合によっては、アイレットさんからもご提案いただきたいなと思っています。


アマノ様がおっしゃる通り、今後様々なブラッシュアップポイントが出てくると思うので、運用保守にもしっかりと対応していきたいと思っています。我々はアマノ様のビジネス成功に貢献したいという思いを常に持っているので、クラウドを使った効率化、パフォーマンス改善、新しい AWS サービスの紹介など、垣根をつくらずアイレットだからこそできるアプローチやご提案を行っていきたいと考えています。


【アマノ株式会社様】
企業公式サイト : https://www.amano.co.jp/
清掃ロボットサイト : https://www.amano.co.jp/Clean/products/robot.html

技術概要:https://cloudpack.jp/casestudy/206.html