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2018.03.27 TUE

北欧はIT先進国!留学で体験した最先端な人々の暮らし

国安沙耶

WRITTEN BY 国安沙耶

こんにちは、cloudpack.media編集部 インターン生の国安沙耶です。
突然ですが、みなさんは「北欧」と聞いて思い浮かぶものはありますか?

私は大学在学中に、1年ほどスウェーデン王国に留学していたことがあります。

留学する前はスウェーデンについて、「豊かな自然」や、「のどかな人々の生活」をイメージしていました。

しかし、実際に現地で生活してみると、そうした牧歌的イメージは、スウェーデンのわずか一部分に過ぎないということに気付きました。

現地では、小さな子どもからお年寄りまでスマートフォンやパソコンを器用に使いこなし、買い物、学校の授業における課題提出、住民票の取り寄せなど、生活のすべてがオンライン上で完結します。

北欧は自然や伝統文化を大切にする一方で、世界有数の“IT大国”という側面も持ち合わせていたのです。

2016年に世界経済フォーラム(WEF)によって発表されたIT競争力の国際ランキングによると

1位 シンガポール
2位 フィンランド
3位 スウェーデン
4位 ノルウェー
5位 アメリカ

という結果になっています。トップ5のうち北欧の国が3つも入っていることから、北欧諸国のIT競争力の高さがうかがえます。ちなみに日本のランクは10位でした。

今回の記事では、私の実体験を交えて、北欧の人々がどのようにITを活用しているのかをご紹介します。

世界に広がった北欧発祥のサービス

IT競争力の高さを証明するかのように、現在世界中で使われているサービスの中には、北欧で開発されたものが多くあります。

代表的なサービスで『Skype(スカイプ)』と『Spotify(スポティファイ)』があります。

Skype

無料のビデオチャットで有名なSkypeは2003年にスウェーデンとデンマークの起業家によって、エストニアの首都タリンにて開発されました。

タリンは多くのIT企業が進出していることから「北欧のシリコンバレー」と称されています。

Skypeは、2011年にマイクロソフト社に買収され、2016年にはユーザー数が3億人を突破したことが発表されています。

Skypeはもともとのビデオチャット以外にも、テキストチャットやファイル送信など機能が拡張されています。個人間の利用だけでなく、国際会議などをするにあたって導入する企業も増えています。

Spotify

音楽ストリーミングサービスとして有名なSpotifyは、2006年にスウェーデンで創業され、2008年にサービスの提供を開始しました。日本には2016年に上陸しています。

無料のフリープランと有料のプレミアムプランがあり、どちらも約4,000万曲にアクセスすることができます。2017年には世界の有料会員数が6,000万人を超えたことが発表されています。

急成長を遂げる一方で、既存のミュージックCD販売やiTunes Music Storeを脅かす存在として注目を集めています。

SkypeやSpotifyは、今では世界中で利用されているサービスですが、最初に生まれたのはどちらも人口1,000万人に満たない小さな国だったというのが、驚きです。

以前は国際電話と言えば高額の通話料がかかったり、音楽を聴くのもお金を払ってダウンロードする方法が一般的でした。SkypeもSpotifyも、ユーザーが無料で使えることが、革新的な発明と言われる理由のひとつだと思います。

キャッシュレス社会

スウェーデンでの生活で私が一番驚いたのは、すでに「キャッシュレス化」が浸透していることでした。

なんとスウェーデンは、キャッシュレス化が最も進んでいる国だと言われています。2016年の現金流通量は、対GDP(国内総生産)でたったの1.4%。ほとんどのお会計が、現金以外の方法でなされていることになります。

(希少な500クローナ紙幣[=6,450円]:2018年3月27日時点の換算レート)

実際にスウェーデンで街行く人々を見ても、現金で支払う人はほとんどいません。私がバスの乗車料金を現金で払おうとしたら、ICカードで払う金額の 3倍近くの料金を請求されたことがあります。

また、留学中に住んでいた寮の家賃を払うために銀行へ行ったところ、「現金では取り扱いがありません」と言われ、いくつもの銀行に足を運ぶはめになったことがありました。

私が実際に体験したことは、日本では起こり得ない状況だったので、初めは自分の英語が間違っているのか?と疑いました。キャッシュレスが進んでいることが分かってくると、銀行に現金が無いのも不思議ではないと納得できました。

そんなスウェーデンのキャッシュレス化に大きな影響を与えたのが、決済アプリの『Swish(スウィッシュ)』です。

Swish

Swishを使うと、相手の電話番号さえ分かれば、瞬時に送金や受け取りができます。お金の貸し借りやレストラン・カフェでの支払いなど、生活のあらゆる場面で利用されています。

現在、スウェーデン人口の半数以上が利用していますが、スウェーデンのパーソナルナンバーと銀行口座を持っている人のみが利用できるため、残念ながら留学生の私は使うことはできませんでした。留学中は他の学生と共用で使うものが多く、日用品などはほとんど皆で買ってシェアしていたので、Swishを使うことができれば便利だったなと思います。

みんなが現金を持ち歩かなくなることがきっかけで、スウェーデンでは2008年に110件あった強盗の発生件数が2015年には7件にまで減少しました。キャッシュレス化によるメリットは利便性だけでなく、治安にも大きな影響を与えていることがわかります。

教育現場でも進むIT化

留学先の大学では、スウェーデンの教育について学ぶ授業を取っていました。現地の幼稚園や小学校を訪問し、実際の授業の様子を見る機会がありました。

そこで印象的だったのは、小学校低学年の生徒たちが授業中にiPadを駆使して調べものをする姿でした。学校から1人1台のiPadが支給されるので、授業中は自由に使うことができるのです。高学年になるとWordを使って作文を書いたり、PowerPointでプレゼンテーションを作成したりする生徒が多く見られました。

試験中でもiPadを使って良い場合もあるようで、暗記中心のテストばかり受けて育ってきた私にとっては驚きでした。現代において求められるのは、物事を暗記する能力よりも、適切な情報を素早く見つけ出して活用する能力だと思うので、理にかなっていると感じました。

プログラミングが必修の国フィンランド

スウェーデンのお隣に位置するフィンランド共和国は、国際学習到達度調査(PISA)で常に上位にランクインし、世界最高レベルの教育環境があると言われる国です。

フィンランドでは2016年から義務教育にプログラミングの授業を取り入れています。

プログラミングを選択科目として設置する国は増えていますが、必修としている国はまだ多くありません。

これはプログラマーを増やすという目的ではなく、すべての人にプログラミングに触れる機会を与えることが目的です。小学校におけるプログラミング教育では、プログラミング的思考を育むことが狙いとされています。

プログラミング的思考とは、自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つひとつの動きに対応した記号を、どう組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、意図した活動により近づくのか、といったことを論理的に考えていく力である、と定義されています。

プログラミング的思考を身に付けることによって、抱えている問題をシンプルな状態に分解して、解決策を考えることができるようになったり、作業を効率的に進められたりする力が身につくと期待されています。

手ぶらで電車に乗れる新システム

スウェーデンの鉄道会社が2017年に新しい料金の支払い方式を発表しました。なんと乗客の体内に埋め込んだマイクロチップをスキャンして、乗車料金を徴収するシステムです。

スウェーデンには既にマイクロチップを体内に埋め込んだバイオハッカーが約2,000人いると言われており、そのうちの約200人が利用することが見込まれています。

日本でもスマホやICカードを持ち歩き改札でかざすことで、電車に乗れるのは当たり前になっていますが、スウェーデンでは手ぶらで電車に乗れるようになるということですね。

マイクロチップを埋め込むなんてSF映画のように思ってしまいますが、すでに実際に使っている人たちがいると考えると、時代はどんどん進んでいるのだなと感じます。

スマートな暮らしに欠かせないカルチャー

北欧のIT活用について紹介してきましたが、みなさんの「北欧」のイメージと違いはありましたか?

実際にスウェーデンで生活してみて感じた事は、新しいことを試すのに躊躇しない国だということです。便利そうなものはどんどんやってみる。それで少しでも豊かになればラッキー、という考え方が、人々の間に根付いていると感じました。

こうした写真のような表面的には「のどかな」雰囲気とは裏腹に、さまざまな分野で最先端を走る北欧諸国。彼らのスマートな暮らしを実現する要素は、日本でも取り入れたら便利だなと思うものがたくさんありました。

日本でも、スマートシティのようなコンセプチャルな目指すべき姿が語られることがありますが、北欧諸国と比べて日本は周回遅れになりつつあります。今から追いつくには、日本でも全員がプログラミング的思考を身につける必要があるのかもしれません。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!