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2016.10.24 MON

VMware Cloud on AWS の衝撃と謎

WRITTEN BY齊藤 愼仁

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シンジです。日本時間の2016年10月14日午前5時半頃、AWSとVMwareがライブストリーミングを通じて「VMware Cloud on AWS」の共同発表を行いました。以前から噂にはなっていたものが、公式に発表されたわけです。実はVMware ESXiもちょっぴり触れるシンジが、この発表を考察してみます。

ソースはこちら

[速報]「VMware Cloud on AWS」をAWSとVMwareが共同発表。Amazonクラウドのベアメタル上でVMware環境を提供、ハイブリッドクラウドを実現(更新終了) - Publickey
http://www.publickey1.jp/blog/16/vmware_cloud_on_aws.html

この内容は個人的な考察なので

あれはこう思う、俺は違う、ここは期待するなど、それぞれ想像を膨らませて貰った方が良いです。

VMwareのこれまでと現状

IaaSという観点で見ると、現状はAWS、Azure、GCPの3代巨頭が世界制覇しているところに、VMwareもIaaSとして展開していたわけですが、事実上撤退しています。その後VMwareがクラウドビジネスを諦めたとも見られましたが、すぐさまIBMのSoftLayerでの業務提携を発表しました。経営判断として大変良い方針転換だと評価する声もよく耳にします。

現時点で、SoftLayer上ではVMwareのいくつかの機能は実稼働できる状態で提供されており、例えばVMwareの中でも非常に優れたサービスのうちの1つでもあるvMotion(ベアメタルの中身入れ替えをダウンタイム無く行うとんでもテクノロジー)を、リージョンをまたいで行っている実証データなどもいくつか確認できるまでになっています。

そしてついに、IaaS史上最強の事業社、AWSとのパートナーシップ発表が来たわけです。

提供形態の謎

現時点で確認した限りでは、あくまでVMwareが主体となって、VMwareからVMware Cloud on AWSを従量課金、1年リザーブド、3年リザーブドによる購入を行う事で、VMwareの機能が使えるIaaSを、AWSの各リージョンにあるベアメタルを利用出来ますよということのようです。

AWSを使う人ならおなじみのマネジメントコンソールからVMwareの機能が使えるようになるとか、AWSのSLAが適用されるとか、AWSのサポートが利用出来るとか、そーゆーことでは無さそうです。今のところはね。

ところが謎なのは、VMwareのDRS(Distributed Resource Scheduler)を拡張したElastic DRSを現在テクニカルプレビュー中とのことです。

Elasticという名前がついてるあたりAWSが開発協力している感じが半端じゃない上に、この機能が実現できるとユーザーは何が嬉しいのかというと、例えば5台のサーバーで負荷分散しながらサービス提供している状態だとして、だんだん負荷が高まってきて、ギリギリ5台じゃ足りないよってときには、勝手に6台に増やしてサービス継続に持っていったり、その逆も勝手にやってくれる謎技術っぽいです。

既存のAWSサービスに対しても、シームレスにアクセス可能になる予定らしいので、この辺をどのリージョンから、どのサービスから、どうやって提供してくるのか注目です。

現実的には既存のVMwareユーザーが嬉しいかもしれない

国内だけで見ても、VMware ESXiのエンジニアは多いし、いわゆる国内のプライベートクラウドのほとんどはVMware ESXiで作られていることから、これらをvCenterに統合される形で自社のベアメタルを利用するのか、突発的に調達が必要になった場合にAWSのベアメタルを利用するのかを選択できるようになるのは素晴らしいことだと思います。

まさにハイブリッドクラウドっぽくなってきましたね。個人的にはハイブリッドクラウドは管理面と運用コストを考慮すると無駄ばかりなので大嫌いなのですが、こーゆー形ならアリかなと思ってしまいます。

心配な点はネットワークの帯域

オンプレミスとAWSをvCenterで統合的に管理、NSXやvMotionなどの各種機能を利用することを想定すると、AWS Direct Connectによる専用線接続が大前提になりそうです。それでも基本は1Gbit線ですからね。10Gbitもありますけど、いいお値段です。

既にごりごりにVMware ESXiをご利用中のユーザーであればお分かりの通り、VMwareを全力で使いこなそうとすると、アホほどネットワーク帯域が必要になりますよね。数百台のライブマイグレーションやろうと思ったら、10Gbit環境に数時間の待機、最後のメモリ空間の移動までハラハラしながら見守るあのLive感が楽しめるわけですが、AWSのネットワーク帯域は他社のそれらと比べてしまうと、見劣りするのも事実です。

ただ、技術的には現状のインフラでも出来る事は明白です。
必要なのはただひとつ。
人柱。
これだけ。

理想の形は

やはりハイブリッドではなく、自社のDCやサーバールームを完全に償却。物理資産をゼロにして、VMware ESXiを利用している運用体制を変えずにベアメタルは全部AWSに任せる、時間課金、もう資産は保有しない、という形がいいのでは無いでしょうか。

いちいち発注したり、ラッキングしたり、捨てたり。大変ですよね。もう辞められそうですよ。

VMware Cloud on AWSは2017年中旬にサービス開始予定

販売主体がVMwareとなっていることから、既にVMwareをゴリゴリに使っているユーザーさんに対しては情報が落ちてくる速度が速い気がします。ハイパーバイザーとしては最強だと思っているので、今回の業務提供を皮切りに、様々な技術協力がなされていく未来が容易に想像できますよね。

様々なハードルがあってクラウドを使えない会社さん、1つの大きなハードルが無くなりそうです。

これからも要注目な事案ですね。

元記事はこちら

VMware Cloud on AWS の衝撃と謎

齊藤 愼仁

cloudpack 社内インフラ担当、情報セキュリティ責任者。HPCを経て現職に至る。無類の猫好きで、すだち君という名の猫を飼っている。